不動産クラウドファンディングを基本に、投資についてのお話
お金と資産形成について、休憩時間や通勤時間の暇つぶしになってタメになるコラム
ニュースで「今日の円相場は1ドル159円」なんて聞いても、不動産投資をしている人の多くは「まあ、海外旅行する人には関係あるよね」くらいに思っているかもしれません。
「不動産CFは国内案件だし、為替なんて関係ないでしょ?」
実は、これが大きな勘違いなんです。
円安・円高の動きは、巡り巡って国内の不動産価格や、不動産クラウドファンディングの利回りにまで影響しています。直接ではなく「間接的に」効いてくるので気づきにくいのですが、知っておくと案件選びの目が確実に変わります。
今回は、「為替と不動産CF」という、意外と語られないテーマを、できるだけわかりやすく解説します。「へぇ、そんなところでつながってたのか」と思ってもらえたら嬉しいです。
「円安だと不動産にどう影響するの?」を理解するには、3つのルートを押さえておくと一気にクリアになります。
円安というのは、外国の通貨から見て日本円の価値が下がること。
たとえば1ドル100円の時に1億円だった物件は、1ドル150円になると、ドル建てでは約67万ドルで買える計算になります。同じ物件が、ドルで見ると3分の2の値段になるわけです。
これは海外投資家にとって、「日本の不動産、バーゲンセール中じゃないか!」という状態。実際、東京の不動産価格は、国際的に見ると香港やロンドンの半分以下とも言われ、強烈な割安感があります。
円安が進むほど、海外マネーが日本の不動産に流れ込みやすくなる――これが1つ目のルートです。
2つ目は、ちょっと地味だけど重要なルート。
日本は建築資材の多くを輸入に頼っています。木材、鉄骨、設備機器…。円安になると、これら輸入建材の価格が上がります。
建てるのにかかるお金(建築コスト)が上がれば、当然、新しく作る物件の価格も上がる。つまり円安は、じわじわと不動産の「製造原価」を押し上げるんです。
3つ目は、観光のルート。
円安になると、外国人観光客にとって日本旅行は「お得」になります。結果、インバウンド(訪日観光客)が増え、ホテルや商業施設の需要が高まります。
すると、ホテル・宿泊系や商業系の不動産の収益性が上がり、そうした物件を扱うファンドの魅力も増す――こうしてインバウンド需要が不動産CFに波及していきます。
この3つのルートを頭に入れておくと、為替ニュースの見え方がガラッと変わりますよ。
では、実際にいま何が起きているのか。直近の動きを見てみましょう。
2026年6月時点で、ドル円は1ドル159円台。2024年には一時161円台をつけ、その後も150〜160円のレンジで、歴史的な円安水準が続いています。
この円安局面で、不動産市場では具体的に3つのことが起きています。
不動産サービス大手のJLLによると、2024年の日本への不動産投資額は約5兆円、2025年には6兆円近くに達すると予測されています。世界中の投資マネーが、東京を中心とした日本の不動産に流れ込んでいるんです。
象徴的なのが、東京五輪の選手村跡地を活用した「晴海フラッグ」。外国籍の所有が2割を超えたと報じられ、話題になりました。都心の分譲マンションを外国人が積極的に購入している実態が、あちこちで見られます。
中国への投資がしにくくなっている分、アジア太平洋地域では「日本」と「豪州」に資金が集まりやすい、という事情もあるようです。
円安と世界的な資材高で、建築コストはここ数年で大きく上昇しました。
建てるのにお金がかかりすぎるので、デベロッパーは新規プロジェクトに慎重になります。結果、新築物件の供給が絞られる。
供給が減れば、当然ながら既存物件の価値は相対的に上がります。「新しいのが出てこないなら、今あるものの価値が高まる」という、シンプルな需給の話ですね。
海外マネーの流入と、新規供給の減少。この2つが重なることで、既存の不動産価格は押し上げられています。
東京23区の新築マンション価格が1億円を超える、なんてニュースも、この流れの中で起きていること。「東京独歩高」という言葉まで生まれているほどです。
不動産CFの観点で言えば、運用中の物件の資産価値が下支えされやすい環境だと言えます。これは投資家にとって、悪くない状況です。
ここまで円安の話をしてきましたが、為替は一方通行ではありません。
実は、多くの専門家が「2026年後半にかけて、徐々に円高方向に振れる」と予想しています。野村證券は2026年央以降の調整を、三井住友DSアセットマネジメントは年末に150円、大和は146円までの円高を見込んでいます。
では、もし円高に振れたら、不動産CFにはどんな影響があるのでしょうか。3つのシナリオで考えてみます。
円高になると、海外投資家から見た「割安感」が薄れます。
「ドルで見て3分の2の値段で買える」というお得感がなくなれば、海外マネーの流入ペースは鈍る可能性があります。場合によっては、利益確定の売却(資金流出)が起きることも。
ただし、急激に全部引き上げる、というよりは「新規の買いが減る」というマイルドな影響が現実的でしょう。
円高は輸入建材の価格を下げるので、建築コストが下がる方向に働きます。
コストが下がれば、デベロッパーは新規プロジェクトを動かしやすくなり、新築物件の供給が増える可能性があります。供給が増えれば、価格の上昇圧力は和らぎます。
これは「物件価格が下がりやすくなる」要因なので、既存物件の値上がり益を狙うタイプのファンドには逆風になり得ます。
円高になると、外国人観光客にとって日本旅行の「お得感」が減ります。
インバウンド需要が鈍れば、ホテルや商業・宿泊系の物件の収益性に影響が出る可能性があります。観光地のホテルファンドなどは、為替の影響を受けやすいカテゴリと言えるでしょう。
とはいえ、日本の観光の魅力は為替だけで決まるものではないので、過度に心配する必要はありません。あくまで「ひとつの要因」として頭に入れておく程度でOKです。
「円安も円高も影響するなら、どうやって案件を選べばいいの?」
ご安心ください。為替の影響を受けにくい案件の選び方には、ちゃんとコツがあります。3つの視点でお伝えします。
為替の影響は、立地によって出方が大きく違います。
「為替のニュースに一喜一憂したくない」という人は、国内の実需に支えられた住居エリアの案件を中心に選ぶと、心穏やかに運用できます。
物件のタイプも重要な判断軸です。
「為替リスクを抑えたいなら、住居型が王道」と覚えておきましょう。逆に「円安メリットを取りに行きたい」なら、宿泊・観光型を少し組み込む、という戦略もアリです。
最後は時間軸の話。
為替は短期的には読みにくいですが、運用期間が短い案件ほど、為替変動にさらされる時間が短くて済みます。
半年〜1年程度の短期案件なら、その間に為替が大きく動いても、影響は限定的。逆に3年・5年と長期で持つほど、為替シナリオの不確実性が増します。
「為替が不安だな」というときは、短期運用の案件を選んで、こまめに見直すのが賢いやり方です。
「不動産CFは国内案件だから為替は関係ない」――この思い込みが、いかにもったいないか、おわかりいただけたでしょうか。
おさらいすると、為替は3つのルートで不動産に効いてきます。
そして、為替変動に強い案件を選ぶコツは、
の3つです。
為替を「怖いもの」と捉えるのではなく、「案件を選ぶときのひとつの判断材料」として味方につけること。
それができれば、為替がどちらに振れても、落ち着いて運用を続けられます。
トモタクでは、立地・物件用途・運用期間の異なる多彩なファンドをご用意しています。為替環境を踏まえて、あなたに合った案件を選んでみませんか?
※本記事は、執筆時点(2026年5月)の情報をもとに作成しています。為替・市場環境は今後変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任のもと、最新の情報をご確認ください。