不動産クラウドファンディングを基本に、投資についてのお話
お金と資産形成について、休憩時間や通勤時間の暇つぶしになってタメになるコラム
“投資利回り”という用語をご存知でしょうか。
ひとことで“投資”といっても様々な商品があり、目移りしてしまう人は多いでしょう。
仮に投資商品が決まっていたとしても、その中から収益を見込める投資先や銘柄を選択するのは、初心者にとって大変な労力になります。そこで、資産運用を始める上で一定の目安となるのが投資利回りです。
しかし、投資利回りに類似した用語も多く「結局、どういう意味なの?」と困惑してしまう人も少なくありません。
今回は“投資利回り”を軸に、意味や類似の用語を含めた基礎知識について解説していきます。
投資利回りとは、対象の商品に投資したことで得られる収益の割合を表した数値で、投資利回りの数値が大きいほど高い収益を見込めます。
例として、100万円を5年間運用する際に見込める収益を、投資利回り3%・5%・10%毎に分けてみました。
ご覧のように、投資利回りの数値が大きいほど見込める収益が増えています。
しかし、投資利回りの高さだけで判断するのはおすすめできません。
投資商品には元本割れのリスクが伴い、投資利回りが高いほどリスクも高い傾向があるからです。
投資商品を選ぶ際は、自身にとって理想的なのはもちろん、対象商品のリスク許容度を考慮した上で投資利回りを確認しましょう。リスク許容度とは、あなた自身の元本割れに対する許容額の割合を意味します。
投資にはリスクが伴うことをお伝えしました。プラス推移で運用できるのがベストではあるものの、投資を始める以上、価格がマイナスに転じる日も訪れるでしょう。この時、あなた自身は“どれだけマイナスを許容できるのか?”がリスク許容度になります。
“損切り”という言葉があるように、時には損失を増やさない目的で“損をした状態で売却する”決断も必要です。特に短期投資を始めようと検討している人は、リスク許容度を明確に設定しておかないと、損失を増やす結果にもなりかねません。
一方で10年〜20年といった長期運用の場合、全体的にプラス推移している状態なら、一時的な下落に対し過剰な反応をすることはありません。ただ、なぜ価格が下落したのか?など情報収集できる環境整備が理想的と言えるでしょう。
投資商品を選ぶ判断材料の1つが投資利回りになります。では「初心者におすすめの投資利回りはいくつ?」と問われれば、批判を恐れずに言うと3%〜5%ほどの商品です。
投資に慣れていない状態で投資利回りの高い商品に投資すれば、失敗する可能性が高く、さらにリカバリできない状況にもなりかねません。
なので3%〜5%の数値はリターンよりリスク低減を優先し、安全に長く運用運用することで、コツコツと収益を増やしていく長期投資をおすすめします。
さらに、リスク低減に優れた投資先で運用すれば、より安全で精神的負担も軽減できるでしょう。
リスクを抑えた投資利回り3%〜5%がおすすめとお伝えしましたが、数値に拘り過ぎるのも注意が必要です。
投資利回りの数値が低いほどリスクを抑えられるものの、絶対に元本割れしないとは断言できません。同時に、投資利回り6%で運用すれば絶対に元本割れするとも限りません。
安定的に運用を回すためのポイントは、投資家それぞれに適した“リスクとリターンのバランスがとれたポートフォリオを組むこと”です。
ポートフォリオとは、投資した商品の組み合わせの割合を表したものです。
リスクを抑えて安全な運用を望むのであれば、元本保証に優れた定期預金や国債の割合を多くし、投資信託やREITといった収益増を狙う割合を少なくすることでリスク低減を狙えます。リスク低減を優先しつつ、数ヶ月〜1年程度の運用で安定性に優れた不動産クラウドファンディングを取り入れる選択も良いでしょう。
ポートフォリオを組む上で重要となるのが“目標達成を狙える組み合わせができているのか?”です。
「損をしたくないから」とより安全性の高い商品ばかりで運用すれば、運用に失敗しにくくはなるものの、目標額に到達する期間は長くなります。逆に、リターンを優先したポートフォリオになると、目標額以上の収益が見込める一方で失敗する可能性を高めてしまうのです。
投資は無計画に行うものではありません。投資で貯蓄を増やすのであれば、明確なゴールを定めた上で、リスクとリターンのバランスがとれたポートフォリオを組みましょう。
投資商品を検討する上で、投資利回りを自分で計算して判断することは可能です。ただ、大まかな計算式は同じですが、若干異なる場合もあります。
金額や運用期間、投資利回りを入力するだけで結果が簡単に分かる専用シミュレーターを公開している企業サイトも多いので、計算が面倒と感じる人におすすめです。
投資信託では、下記の計算式で算出できます。
【投資利回り =(売買時に得た損益 + 分配益)÷ 投資額 ÷ 運用年数 x 100】
例えば、下記データを参考に計算してみましょう。
(10万円 + 3万円)÷ 100万円 ÷ 運用年数 = 2.6%
REIT(不動産投資信託)とETF(上場投資信託)では、下記の計算式で算出できます。
【分配金利回り = 過去1年間の分配金 ÷ 投資額 x 100】
例えば、下記データを参考に計算してみましょう。
3万円 ÷ 100万円 x 100 = 3%
分配金利回りとは、対象の商品に投資したことで得られる過去1年間の分配金を意味します。
不動産投資では“表面利回り”と“実質利回り”の2つの投資利回りがあり、それぞれ計算式は異なります。
【表面利回り =(年間の家賃収入 ÷ 物件の価格)× 100】
【実質利回り=(年間の家賃収入 - 諸経費)÷(物件の価格 + 購入した際の諸経費)×100】
2つの違いは、実質利回りの方が諸経費等を計算に入れている点。表面利回りより具体的な数字を算出できますが、物件選びの際に一般的に使用されているのは表面利回りです。その点は注意しましょう。
不動産投資の失敗例として挙げられるのが、この表面利回りの高さだけに注目し、購入を決断してしまうことです。表面利回りでは諸経費等マイナスになる部分を含めずに算出される数値ですので、表向きの金額でしかありません。そもそもは、物件購入時に発生する諸経費がその年によって異なるため、前もって実質利回りを算出できないからです。
不動産投資は、不動産賃貸業を営むこと、つまり経営です。表面的な利回りだけではなく、収入や借入、経費などを全て収支計算し、事業として成立しているかを常に意識しましょう。
不動産投資の成功のほとんどは物件選びに左右されます。よく確認した上で判断しましょう。
不動産クラウドファンディングでは、出資するファンドの詳細に“想定利回り”で明記され、下記の計算式で算出できます。
【想定利回り = 年間の予定配当金額 ÷ 出資額 x 100】
例えば、下記データを参考に計算してみましょう。
5万円 ÷ 100万円 x 100 = 5%(利回り)
利回りが、「想定」と表現されているのは、確定利回りではないからなのですが、基本的に投資において確定利回り商品はありません。それを、不動産クラウドファンディングの業界では「想定利回り」と表現されることが多いというだけです。
上の項目では投資利回りの計算式について紹介してきました。その際、表面利回りや実質利回り、想定利回りなど様々な“利回り”があることに気づいた人はいるでしょう。
他にも類似した用語があるのでご紹介します。
利率とは、国債での額面金額(償還時に受け取れる金額)や銀行への預貯金額に対し、毎年受け取ることができる利息の割合を表す言葉です。
投資利回りとは割合の対象部分が異なっています。
1年毎に運用で得られた収益の平均を表す言葉です。投資商品や景気によって平均は異なり、例えば投資信託の平均利回りは3%〜10%となります。
他にもREITの平均分配利回りは4%ほどです。
上でも触れていますが、不動産関係の投資において確定利回りの商品はありません。空室が発生して入居者からの賃料収入が減ったり、家事や災害などで建物が倒壊した場合などにおいては、想定の収入がなくなることは自明の理です。
そのため、特に問題なく不動産の運用をしている状態で安定的に発生するであろう収入をもとに利回りを算出するのですが、それを想定利回りと表現しているのです。
投資の世界では、資産運用を行なった成果や成績を意味する言葉です。
過去の運用データから現在の運用状況を確認・分析し、運用を見直す際の目安としても使えます。
一定の期間内に行ったそれぞれの投資において、出資に対してどれほどのリターンがあったか、取ったリスクに見合った投資だったのかを評価する際に用いられる用語です。
投資利回りとは、対象の商品に投資したことで得られる収益の割合を表した数値です。
商品を選ぶ上で重要な判断材料の1つと言えますが、投資には様々な視点から比較・分析してからの決断が必要です。
特に、入念な確認もせず利回りの高さに飛びつくと、後から後悔する結果にもなりかねません。
投資は手軽に運用できる時代になりましたが、決して簡単になったわけではないことを留意し、情報収集に励みましょう。