不動産クラウドファンディングを基本に、投資についてのお話
お金と資産形成について、休憩時間や通勤時間の暇つぶしになってタメになるコラム
「不動産投資型クラウドファンディングって、税金はどうなるの?」
利回りや安定性ばかりに目が向きがちですが、実は税金の仕組みを理解していないと、思っていたより手取りが少なくなることもあります。投資として成果を出すためには、利回りだけでなく「税引後の実質リターン」を把握することが欠かせません。
不動産投資型クラウドファンディングの税金が分かりにくい理由は、事業スキームによって課税方法が異なる点にあります。
匿名組合型では雑所得として総合課税、任意組合型では家賃収入が不動産所得となり、さらに売却時の利益は分離課税となるなど、仕組みを知らないと混乱しやすいのが実情です。
本記事では、不動産特定共同事業を手がける事業者の視点から、
を、専門知識がなくても理解できるよう、わかりやすく解説していきます。
不動産投資型クラウドファンディングの税金を理解するうえで最も重要なのが、「どの事業スキームで投資しているか」です。
同じ不動産投資型クラウドファンディングでも、匿名組合型と任意組合型では、所得区分や課税方法が大きく異なります。
匿名組合型とは、投資家が事業者に出資し、その運用成果に応じて分配を受け取る仕組みです。投資家は不動産を直接所有するわけではなく、あくまで「出資者」という立場になります。
この匿名組合型で受け取る分配金は、税務上「雑所得」に区分されます。雑所得は総合課税の対象となるため、給与所得や事業所得などと合算され、その合計金額に応じた所得税・住民税が課されます。
たとえば、給与所得が高い方ほど税率も高くなるため、同じ分配金額でも人によって税負担が変わる点には注意が必要です。
また、匿名組合型の大きな特徴として、他の所得との損益通算ができないという点があります。仮に分配金が想定より少なかった場合でも、給与所得などと相殺することはできません。
任意組合型は、投資家が不動産を共同で所有しているとみなされるスキームです。匿名組合型とは異なり、投資家は実質的に「不動産オーナー」の一人という位置づけになります。
このため、任意組合型で得られる家賃収入は、税務上「不動産所得」に区分され、総合課税の対象となります。
不動産所得の大きな特徴は、管理費・修繕費・減価償却費などの必要経費を差し引いた後の金額が課税対象になる点です。
さらに、物件を売却して利益が出た場合、その売却益は「譲渡所得」となり、分離課税が適用されます。
この際、保有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得となり、税率が異なる点も押さえておく必要があります。
匿名組合型と任意組合型の税金の違いを整理すると、次のようになります。
不動産投資型クラウドファンディングで利益が出た場合、ケースによっては確定申告が必要になります。
ここでは「どんな場合に申告が必要か」「何を準備し、どう進めるのか」を順を追って解説します。
まず、確定申告が必要になる代表的なケースを押さえておきましょう。
給与所得者(会社員)の場合、不動産投資型クラウドファンディングによる年間の所得(利益)が20万円を超えると、確定申告が必要になります。これは匿名組合型・任意組合型のどちらでも共通です。
また、任意組合型で投資している場合は、金額にかかわらず不動産所得が発生した時点で確定申告が必要になるのが原則です。
さらに、物件売却によって利益(譲渡所得)が出た場合も、分離課税の対象となるため申告が必要です。
「少額だから大丈夫」と思い込まず、所得の種類と金額で判断することが重要です。
確定申告を行う際は、事前に必要書類を揃えておくとスムーズです。
主に必要となるのは、
加えて、
も必要になります。
多くの不動産投資型クラウドファンディング事業者では、確定申告用の資料をオンラインで確認・ダウンロードできるため、事前に確認しておくと安心です。
確定申告は、次の流れで進めるのが基本です。
まず、自分の投資が匿名組合型なのか、任意組合型なのかを確認し、所得区分を明確にします。
次に、年間の分配金や売却益、必要経費を集計し、課税対象額を算出します。
申告方法は、
のいずれかを選択できます。近年はe-Taxを利用する人が増えており、還付も早い傾向にあります。
申告が完了すると、
のいずれかが発生します。
最初は難しく感じるかもしれませんが、一度経験すれば次回以降は格段に楽になります。
不動産投資型クラウドファンディングは、少額から始められて手軽な一方、税金の理解が浅いと「思ったより手取りが少ない」という結果になりがちです。
ここでは、初心者が特に注意すべきポイントを整理します。
まず押さえておきたいのが、表面利回りと実際の手取りはまったく別物という点です。
不動産投資型クラウドファンディングで表示される利回りは、基本的に税引前の数字です。ここから所得税・住民税が差し引かれた金額が、実際に手元に残る「手取り」になります。
特に匿名組合型では雑所得として総合課税されるため、給与所得が高い人ほど税率も上がり、同じ利回りでも人によって手取りに大きな差が出る点には注意が必要です。
「利回りが高い=お得」と短絡的に判断せず、税引後のリターンを意識することが、失敗を防ぐ第一歩です。
不動産投資型クラウドファンディングによる収入は、税務上は「副収入」として扱われます。そのため、確定申告を行うと住民税が増加するケースがあります。
住民税の増加自体は問題ありませんが、「会社に副収入が知られるのでは?」と不安に感じる方もいるでしょう。この場合、住民税の納付方法を「普通徴収」にすることで、会社に通知がいくリスクを抑えられる場合があります。
ただ、一般的に投資による収入ついては会社も認めているケースがほとんどだと思います。
また、金額が大きくなると、将来的に社会保険料算定への影響が出る可能性もあるため、収入規模が拡大してきた段階では一度専門家に相談するのも有効です。
税金面で損をしないためには、自分に合った事業スキームを理解したうえで選ぶことが何より重要です。
「確定申告をできるだけ簡単にしたい」「まずは仕組みを体験したい」という方には、税務処理が比較的シンプルな匿名組合型が向いています。
一方で、「不動産所得として経費計上をしたい」「本格的に不動産投資を理解したい」という方には、任意組合型が適しています。
どちらを選ぶにしても、事業者が税金の仕組みをきちんと説明しているかどうかは非常に重要な判断基準です。分かりにくい点を曖昧にせず、丁寧に開示している事業者ほど、安心して長く付き合えると言えるでしょう。
不動産投資型クラウドファンディングで税金を正しく扱うために最も重要なのは、「どの事業スキームで投資しているか」を理解することです。
匿名組合型の場合、分配金は雑所得として扱われ、総合課税の対象になります。
一方、任意組合型では、家賃収入が不動産所得(総合課税)となり、物件売却時の利益は譲渡所得として分離課税が適用されます。この違いを知らずに投資を始めると、「想定していなかった税負担」が発生する原因になります。
逆に言えば、スキームごとの課税の仕組みを理解し、税引後の手取りまで含めて投資設計を行えば、税金は過度に怖れるものではありません。
利回りだけで判断するのではなく、「税金まで含めた実質リターン」で考えることが、長期的に安定した運用を続けるための大切なポイントです。
なお、投資額が大きくなってきた場合や、任意組合型で不動産所得や譲渡所得が発生する場合は、税理士などの専門家に一度相談することを強くおすすめします。
専門家のアドバイスを受けることで、申告ミスや不要な税負担を防ぎ、より安心して不動産投資型クラウドファンディングを活用できるようになるでしょう。