不動産クラウドファンディングを基本に、投資についてのお話
お金と資産形成について、休憩時間や通勤時間の暇つぶしになってタメになるコラム
この記事の要点
結論
同じ「利回り6%」でも、住居型とホテル型ではリスクの性質が別物です。住居は賃料が安定して初心者向き、オフィス/商業はテナントと景気に左右され、ホテルは観光需要で上下が大きく、物流施設は長期契約で安定しやすいが案件は少なめ、開発型は高利回りの反面、工期や許認可のリスクを負います。用途を理解して選ぶことが、案件選びの精度を大きく上げます。
この記事のポイント
・物件の用途は「収益の源泉」を決める。賃料が安定するか、需要が変動するかは用途でほぼ決まる
・初心者は需要の読みやすい住居型を軸にし、慣れてきたら他の用途を分散先として加えるのが堅実
・開発型は利回りが高い分、完成リスクを負う。2026年の制度改正で工事・許認可・資金計画の開示が義務化された
こんな人におすすめ:ファンド一覧で「レジデンス」「ホテル」「開発案件」といった表示を見て違いがわからない方、用途ごとのリスクを理解して分散したい方
読み終わると:物件の用途を見ただけで「この案件はどんな収益で、どんなリスクがあるか」が想像できるようになります。
ファンド一覧を眺めていると、「都心レジデンス」「観光地ホテル」「物流倉庫」「開発プロジェクト」など、様々な物件が表示されています。
「利回りは似たようなものだけど、何が違うの?」
その答えは、用途(物件の使われ方)にあります。
用途が違えば、収益がどこから生まれるか、その収益がどれだけ安定しているか、何が起きたら困るかなど。すべてが違ってきます。
今回は、不動産クラウドファンディングで出会う代表的な5つの物件タイプを、投資家の目線で比較します。
不動産クラウドファンディングの分配金は、大きく「賃料収入(インカム)」と「売却益(キャピタル)」から生まれます。
そして、賃料がどれだけ安定して入るか、売却がどれだけ確実かは、物件の用途でほぼ決まります。
たとえば、住居の賃料は景気が悪くなっても急には下がりません。それは、人は住む場所を手放せないからです。
一方、ホテルの収入は観光客の増減にそのまま連動します。
このように、同じ「不動産」でも、収益の"体質"がまったく違うのです。
利回りの数字は、この体質の違いを織り込んだ「リスクの対価」です。ですから、利回りを見る前に用途を見るようにする。これが案件を読む順番です。
まず5タイプを一覧で見てみましょう。
タイプ | 収益の源泉 | 安定性 | 主なリスク | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
① 住居 | 入居者からの賃料 | ◎ | 空室・立地 | 初心者・安定重視 |
② オフィス・商業 | テナント賃料 | ○ | テナント退去・景気 | 中級者 |
③ ホテル | 宿泊料(固定 or 変動賃料) | △ | 観光需要の変動・運営力 | 上振れ狙いの分散先 |
④ 物流・DC | 長期賃貸借契約 | ◎(契約期間中) | テナント集中・希少性 | 長期安定を評価できる人 |
⑤ 開発型 | 完成後の売却益・賃料 | △ | 工期・許認可・売却 | 経験者・攻めの一部 |
マンション・アパートなど、人が住む物件です。
収益の源泉は入居者からの賃料。不動産クラウドファンディングで最も案件数が多いタイプです。
はじめて不動産クラウドファンディングに投資する方、値動きよりも安定を重視する方。最初の1本は住居型が定番です。
オフィスビル、店舗、商業ビルなど、企業や店舗が借りる物件のことをいいます。
収益の源泉はテナントからの賃料です。
契約成立前書面のテナント情報(業種・年間賃料・契約満了日)を読んで判断できる、中級者向けです。
ホテル、旅館、民泊施設などが該当します。収益の源泉は宿泊料(多くは運営会社経由の賃料や変動賃料)です。
インバウンド需要の回復とともに、案件が増えたタイプです。
リスクを理解したうえで、ポートフォリオの一部として上振れを狙いたい方。
ただし、全額をホテルに投資することは避けた方が賢明です。
物流倉庫、データセンター、工場など、事業用の大型施設がそれに該当します。
収益の源泉は事業者との長期賃貸借契約です。
EC拡大やDXの進展で注目され、市場全体で投資対象が多様化している分野です。
安定した長期契約を評価できる方。
案件が出たときに「テナントは誰か、契約は何年残っているか」を確認できれば、堅実な分散先になります。
土地の造成や建物の建築がまだ終わっていない段階で出資を募り、完成後の売却益や賃料を狙うタイプです。
「開発プロジェクト」「建築中」といった表示が目印です。
なお、2026年8月の制度改正で、開発型ファンドの契約成立前書面には工事の概要・許認可の有無・費目ごとの資金計画・工期を、運用中の財産管理報告書には工事の進捗と計画からの変更理由を記載することが義務づけられました。
「建築確認は取れているか」を、書面で確認できます。
不動産クラウドファンディングへの投資に慣れていて、リスクを理解したうえでリターンを狙いたい方。
開発型は、ポートフォリオの「攻め」の一部に留めるのが賢明です。
用途を理解したら、次は組み合わせです。
軸は住居型がいいでしょう。ここに、オフィスや物流のような契約ベースの安定案件を加え、余力があればホテルや開発型を「攻め」として少額加える。これが、用途分散の基本形です。
大切なのは、変動の大きいタイプ(ホテル・開発型)に資金を集中させないこと。
それぞれの用途は、違う要因で上下します。住居が堅調でもホテルは不調、ということが普通に起こります。
だからこそ、混ぜておくと全体が安定するのです。分散の考え方は「複数ファンドで分散投資!ポートフォリオの作り方」でも解説しています。
Q. 結局、どの用途がいちばん儲かりますか?
A. 「儲かる用途」は存在しません。利回りが高い用途はリスクも高く、安定した用途は利回りが控えめ。用途はリスクの取り方を選ぶものであって、リターンの高低を選ぶものではありません。
Q. ファンド詳細のどこを見れば用途がわかりますか?
A. 物件概要の「用途」「物件種別」欄、または物件名(レジデンス・ホテル・倉庫など)で判断できます。契約成立前書面には用途と取引の種類が必ず記載されています。
Q. 同じ住居型でも、差はありますか?
A. あります。都心の単身者向けと郊外のファミリー向けでは需要の性質が違いますし、築年数や駅距離で空室リスクも変わります。「住居だから安心」ではなく、立地と賃貸需要まで見るのが基本です。
物件タイプ別の特徴を整理しました。
「この案件、レジデンスだから賃料は安定しそうだけど、駅からは遠いな」
そんなふうに用途から案件を読めるようになれば、あなたの案件選びは一段上のレベルに進んでいます。
トモタクでは、各ファンドの物件概要で用途・立地・賃貸状況を明示しています。今日の5タイプの視点で、募集中の案件を見比べてみてください。
※本記事は、執筆時点(2026年9月)の一般的な情報をもとに作成しています。各用途の特徴は一般的な傾向であり、個別の案件・物件により異なります。投資判断はご自身の責任のもと、契約成立前書面等をご確認ください。